デザイン×長崎の伝統技術で生まれるスタイリッシュなうつわ

今回ご紹介するのは長崎を拠点とする磁器作家の中原真希さん。陶磁工房一朶/ICHIDA STUDIOの名前で作家活動をされています。陶芸家の友人とともに運営するギャラリー「CRANE」は週末だけオープンする隠れ家のようなお店。波止場の一角の小さなビルの2階にあります。
近くには世界遺産でもある三菱長崎造船所の巨大なクレーンがそびえ、長崎港が「鶴(英語でクレーン)の港」とも呼ばれることから「CRANE」と名付けたそう。出島からは歩いて5分ほど。長崎旅行にお出かけの際はぜひ立ち寄ってみてはいかが?

中原真希

シンプルで洗練された食器たち

中原さんがつくる磁器の食器はどれもシンプルでスタイリッシュ。無駄のない洗練されたデザインはどんなインテリアにもしっくりとフィットします。
それもそのはず、女子美術大学デザイン科を卒業し、かつてはインテリアデザインを生業にしていたそう。中原さんの作品にはデザイナー時代の経験が存分に生かされています。

中原真希

中原さんと陶芸との出会いは大学時代のサークル活動から。手を動かすことが好きだったため、デザインを学びながら趣味レベルで陶芸を楽しんでいそう。就職後しばらく辞めていた時期もありましたが、友人に誘われて再開。町の陶芸教室に通うようになりました。
インテリアデザイン場合、自分のデザインを形にするのは他の誰か。デザインから製作まで自分で完結できる陶芸の魅力に改めてはまってしまったのだとか。

仕事を退社して愛知県瀬戸市の職業訓練校で陶芸を学び、陶芸教室時代に先生に言われた「あなたのつくるカタチは磁器向きだね」という言葉を思い出して、日本有数の磁器の産地、佐賀県有田町へ。
両親が有田からほど近い長崎県央の出身だったことも幸いし、両親がリタイアしてUターンしたタイミングで長崎県大村市に自身の工房「陶磁工房一朶(いちだ)」を開窯。普段はこちらで創作活動や陶芸教室などを行なっています。

有田や波佐見の伝統技術が教えてくれたもの

中原さんの作品の美しさの秘密、それはデザインだけではありません。素材である「天草陶石」もその一つ。天草で採れる陶石は輝くような白さが特長。白い器が美しいのはもちろん、カラフルな色をのせても鮮やかに発色してくれるのだとか。

ニュアンスのある優しいカラーは、地元の釉薬メーカーのものを組み合わせているそう。
陶芸の場合、土も釉薬もすべて自分で手づくりする作家さんもいますが、磁器の場合は工程ごとに専門性が高く、分業が当たり前。すべて手づくりする作家さんの方が少ないのです。
当初は自己完結できることに魅力を感じて始めた陶芸ですが、現在は「地域の技術に支えられてモノづくりしている」という中原さん。「ちょっと回り道しちゃいました」と笑います。

中原真希

星野リゾートにも採用された茶器

2022年11月25日にオープンした星野リゾートのホテル「界 雲仙」の客室では、中原さんがデザインしたオリジナルの茶器が活躍しています。
「和・華・蘭(わからん)文化」とも呼ばれる、和(日本)、華(中国)、蘭(オランダ)の要素が混ざり合った異国情緒あふれる長崎文化のエッセンスを器で表現したそう。

そのうち急須は磁器の焼き締めで全てロクロにて成形しています。把手は雲仙の山の石の礫をモチーフにオリジナルデザインです。磁器の急須で焼き締めのものはほとんど無いかと思いますが、産地が開発した新しい粘土により、実現できました。 客室用として、急須、お湯飲み、茶托、コーヒー碗皿を制作させて頂きました。

「デザインも伝統もどちらも好き。それぞれの良いところを活かしてモノづくりしていきたいです。デザイナーをやっていたせいか、自分の作家性で器を売ることに興味がなくて、オーダーメイドというか、試作や開発の仕事をしたいと思っていたので、星野リゾートさんに声をかけていただけて嬉しかったです。自分だけでは出てこないエッセンスが加わって、たくさんの学びがありました。波佐見や有田は量産の技術にも長けているので、今後もそうした技術を持つ職人さんたちと一緒にコラボして、プロダクトとしての焼き物づくりにも力を入れて行こうと思って企画しているところです」

中原さんのデザインと職人さんが持つ伝統技術との化学反応で生まれる、まだ見ぬ美しい磁器たちにお目にかかれる日も近そうです。

中原さんが手がける猫とおそろいのうつわはいかが?

中原さんらしさが光る、どんなインテリアにもしっくりとフィットするシンプルで洗練されたデザインのフードボウルをご紹介します。

陶器に比べて重いのが特徴。ホルダーの部分はあえて厚めに挽いて重量を出しているので、くいしん坊の猫が勢いよく食べても動きにくく、安定感があります。

お皿のふちには適度な返しがあり、水やドライフードがこぼれにくいように設計されています。
そして人間用の食器と同じカラー展開なので、猫とお揃いで食事が楽しめます。

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